2018/07/29

【沖縄で民泊経営!】条例・規制・新法で必ず押さえたい4つのポイント

平成29年6月「住宅宿泊事業法(以降、民泊新法)」が2018年の6月15日に施行される事が国会にて決定しました。 近年、外国人観光客が増加の一途を辿っており「宿泊施設の不足」が大きな問題となっています。また、空き家問題やAirbnbの台頭など「旅館業法」だけでは対応しきれないケースも増えています。 旅館業法ではホテルや旅館・簡易宿所・下宿の営業運営や管理に関するルールを定めている一方、民泊新法では「旅館業法では対応しきれない住宅での宿泊事業」に関する細かいルールを定めています。 ・民泊新法にのっとった住宅宿泊事業者として ・旅行業法に従い簡易宿所営業として 沖縄で「民泊経営」を始めるにあたっての手続きや、運営のポイントに関して詳しく説明していきます。

【ポイント1】沖縄で民泊経営して、実際のところビジネスとして成立するのか?

インバウンド需要から見た沖縄の可能性

2015年、沖縄県における外国人の延宿泊者数は約368.4万泊となっており、前年と比較して54.3%増加しています。 出典:宿泊旅行統計調査(国土交通省観光庁) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf 沖縄を訪れる外国人の31.8%が台湾人、31.5%が韓国人となっています。両国からの訪日観光者数は増加傾向にあり、今後も沖縄を訪れる外国人数は増える可能性が高い状況にあります。 出典:平成28年度外国人観光客実態調査 沖縄県 http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/report/inbound_survey_report/documents/3-2-1shiryou-air.pdf 出典:訪日外客数 JNTO https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/ さらに沖縄を訪れる外国人の75.9%が20〜30代の若い世代や、子連れ世代ということもあり、ホテルと比較して割安な民泊施設の需要拡大が期待できます。 結論:インバウンド需要からみた沖縄の民泊ビジネスのポテンシャルは、高いと言えるでしょう。

国内旅行需要から見た沖縄の可能性

2016年、沖縄県における日本人の延宿泊者数は1369.6万泊となっており、2015年の1488.5万泊からの微減となっています。 出典:施設所在地、宿泊施設タイプ別延べ宿泊者数(日本旅行業協会) https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2016/04.html https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2017/04.html しかし沖縄というエリア特性を考えると、ファミリーで数日間の滞在をする場合、民泊施設に宿泊した方がホテルよりもコストパフォーマンスが高いため、ファミリー向けの民泊需要が拡大していく可能性があります。 結論:ファミリーを対象とした、広めの民泊施設に関しては高いポテンシャルがある。

宿泊施設の供給面から見た沖縄の可能性

2015年時点では東京都や大阪府でのシティホテルの稼働率は約85%です。この数字と言うのは、時期によってはホテルだけでは宿泊需要を満たすことが出来なくなっている事を表す数字で、その結果、東京都や大阪府では簡易宿所の稼働率が60%前後にまで上昇しています。 出典:都道府県別宿泊施設タイプ別客室稼働率(平成27年1月〜12月(確定値)) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf

空き家対策として見た沖縄の可能性

沖縄県における「外国人延べ宿泊者数」は368万人泊で、日本の都道府県の中でも5位と高いレベルにありますが、まだまだ増加傾向にあります。また再来訪をする外国人観光客も多い事から今後も宿泊需要の拡大が見込めます。 沖縄県の空室率は9.88%となっていて、空室になった場合、新しい借主が見つかるまでは「民泊」で収益をすこしでも増やす。新しい借主が見つかったら「賃貸」で安定収入を得る『ハイブリッド型』の民泊運用を上手く活用して、所持物件の収益性を得て行く事が望ましいです。 ただし、沖縄県や那覇市が民泊新法で定める独自ルールにより、沖縄県内の多くのエリアにおいて、住居専用地域での民泊新法に基づく民泊事業運営に厳しい制限を設けています。 これらの地域では簡易宿所としての民泊運営が必須となりますので、ご自身が民泊運営を考えている地域のルールを事前にしっかりと確認するようにしましょう。 出典:総務省「第65回 日本統計年鑑 平成28年」・住宅の建て方別住宅数(都道府県別)(平成25年) http://www.stat.go.jp/naruhodo/c1data/16_01_stt.html
 1泊10泊15泊30泊
宿泊料¥6,900¥69,000¥103,500¥207,000
変動費用-¥1,587-¥15,870-¥23,805-¥47,610
OTA手数料 (3%)-¥207-¥2,070-¥3,105-¥6,210
代行手数料 (20%)-¥1,380-¥13,800-¥20,700-¥41,400
固定費用-¥14,000-¥14,000-¥14,000-¥14,000
水道光熱費-¥10,000-¥10,000-¥10,000-¥10,000
アメニティ-¥1,000-¥1,000-¥1,000-¥1,000
WiFi-¥3,000-¥3,000-¥3,000-¥3,000
清掃費ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担
利益-¥8,687¥39,130¥65,695¥145,390
沖縄(那覇市のみのデータ)では1LDKの平均家賃が65,000円(2018年7月27日時点)となっていますので、民泊を通じて1泊6,900円で貸し出した場合、月の半分である15泊分の予約を確保できれば、家賃収入以上に収益をあげることができます。 なお、上記の収益モデルでは手堅く見積もるために一泊単価を6,900円としています。ただし、韓国・海外からの旅行者は2人もしくは多人数で泊まることが多いため、複数人数で宿泊できるベッド数を用意することで、10,000円 / 泊を超えている民泊事業者も数多くいます。 複数人数での旅行者をうまく取りこむことで、さらに高い収益性を狙うことも十分に可能です。 参考サイト: https://www.homes.co.jp/chintai/okinwara/city/price/

【ポイント2】沖縄で民泊経営をスタートするには?始めるための条件、必要な手続きをご紹介

沖縄で民泊事業を行う際は、沖縄県の定める条例、または那覇市の定める条例に従い事業を運営する必要があります。

沖縄県における、主な民泊制度の概要

許認可等許可届出
申請先沖縄県保健医療部
衛生薬務課
県内の管轄保健所
住居専用地域での営業不可制限あり
※月曜日から金曜日の正午まで実施不可
営業日数上限なし180日(泊)が上限
手数料22,000円不要
床面積客室の延床面積は33平方メートル以上であること
(宿泊者数が10人未満の場合には、3.3mに当該宿泊者の数を乗じて得た面積)
3.3平米/人以上の居室
フロント玄関帳場、フロントを設けることが望ましい不要
自動火災報知器各地域の消防署の指導に従う各地域の消防署の指導に従う
参考サイト: http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/seikatsueisei/juutakushukuhakujigyouhou.html

那覇市における、主な民泊制度の概要

次に、那覇市で民泊を始めるために必要な手続きや条件について解説していきます。那覇市では、住宅宿泊事業法に関して独自の条例・ルールがありますので、必ずチェックしておきましょう。
項目住宅宿泊事業法
(住宅宿泊事業者)
許認可等届出
申請先那覇市保健所生活衛生課医務薬務環境グループ 環境衛生担当
住居専用地域での営業制限あり
日曜日の正午から金曜日の正午までの期間(当該期間のうち連休等に係る期間を除く。)
営業日数180日(泊)が上限
手数料不要
床面積3.3平米/人以上の居室
フロント不要
自動火災報知器各地域の消防署の指導に従う
参考サイト: http://www.city.naha.okinawa.jp/cms/kakuka/nahahokenjyo/seikatueisei/nahasijuutakusyukuhakujourei.pdf

その他、考慮すべき法律は?

民泊事業を行うにあたり、国家戦略特区法、旅行業法、住宅宿泊事業法以外にも押さえておきたい法律は次の5つになります。
  • 消防法 民泊もホテル・旅館と同じ消防設備基準が必要です
  • 食品衛生法 民泊施設で食事を提供する際は届出が必要になります
  • 水質汚濁防止法 民泊事業者が汚水を処理する場合、水質汚濁防止法に基づく届出が必要
  • 下水道法 民泊事業者の施設が下水道法の届出対象(旅館業の用に供するちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設)となる場合があります
  • 建築基準法 建物自体の用途変更が必要になる場合があります
  • 都市計画法 用途地域によっては民泊事業が行えない場合もあります
民泊事業を行うにあたり、様々な法律を考慮し、届出などを行う必要があります。抜け漏れがないように、しっかりと調査して手続きを実施するようにしてください。 民泊事業の届出に関しては専門家への事前相談をオススメいたします。

結局どの制度を利用して民泊事業を運営するべきなのか?

エリアによって違いはありますが、民泊需要があるエリアの場合、月々の収益性は『高 民泊 > マンスリー > 通常賃貸 低』という順位づけになることが多いです。 このような地域で、民泊・マンスリー・通常賃貸の一つに絞って収益を確保したい場合、より効率よく民泊事業を運営するには、最低宿泊日数の制限や年間の宿泊上限日数がない旅館業法(簡易宿所)に則していることが重要です。 しかし、簡易宿所は住居専用地域では事業が大変難しく、事業許可が住宅宿泊事業法よりもおりにくいという所にデメリットがあります。また営業をスタートする際に、法律を満たすために数十万円単位の設備投資が必要になってくる場合も少なくありません。 住居専用地域での収益性を望むのであれば、180日の営業日数上限がある民泊新法に則して、『ハイブリッド型の民泊事業』を行う事をおすすめします。
  • 通常賃貸をメインにして、民泊で空室対策を行うハイブリッド民泊
  • 民泊とマンスリー(定期借家賃貸)によるハイブリッド民泊
民泊と通常賃貸の組み合わせのみならず、180日を超えた場合はマンスリーマンションとして定期借家賃貸をする事も出来ます。 https://vacation-stay.jp/contents/minpaku-operation/post-2251/ ただし沖縄県内では、沖縄県が定める条例により民泊新法下で住宅専用地域での営業可能日数に非常に厳しい制限がかけられることになります。この制限により、ハイブリッド型の民泊運営を実施したとしても、十分な収益を得ることができない可能性がありますので、注意が必要となります。 どの制度を利用するかによって、考慮すべき法律が変わります。それにより必要な届出の手続きが異なってくるので注意が必要です。 運用する物件状況に合わせた民泊運営を判断する事が難しい場合は、専門家に相談するのが得策と言えます。民泊事業の届出に関しては専門家への事前相談をオススメいたします。

【ポイント3】民泊を始めた後に、運用コストを減らしつつ売り上げを伸ばすコツ

これまで、宿泊者需要や運営前における法律関連をご説明してきましたが、ポイント3では、運営後により良い収益を得るコツを説明していきます。 収益をあげる要因は大きく分けて5点あります。
  • 素早いレスポンス、コミュニケーション
  • 写真の質、枚数
  • 施設内設備(WiFiなど)
  • 口コミを集める
  • 高レベルな清潔さ

素早いレスポンス、コミュニケーション

民泊では宿泊者と予約からチェックアウトまでの期間内で10回ほどやりとりをするのが一般的と言われています。 宿泊者がオーナーへ連絡(特に質問)をしたにも関わらず、レスポンスが遅いまたはレスポンスをしていないとなると、宿泊者の不満を産む事に直結してくるので、その後レビューに影響してくる可能性が高く注意が必要です。 通常は一般的なホテルの客室にはフロントへ繋がる電話があり、聞きたいことがあれば、電話をすればフロントスタッフが対応してくれます。 しかし、電話をかけたにもかかわらず、誰も出なかったら「なんだ、このホテルは⁈」と不信感に繋がるはずです。 民泊においても同様で、宿泊者から連絡があったにもかかわらず、レスポンスが遅かったり、ないとすれば不満に繋がることは必然的です。 逆に、すぐに応対してくれるホテルであれば満足度は高まります。 宿泊者からの評価を高めるには、問い合わせに対する返信の速さはマストと言ってもいいでしょう。

写真の質、枚数

写真の枚数や、写りの質は宿泊者の予約において大きな影響を及ぼします。 重要なポイントは以下の3点あります。
  • 施設写真は30枚以上掲載
  • 写真の解像度を高くし、鮮明なものを用意
  • アピールポイントを必ず明記する
宿泊者の施設選択において、自分自身がそのホテルにいることが想像できるかが重要であるとエクスペディア社が発表しました。 ホテルを選ぶ際に、宿泊価格が決定に大きく影響するのはもちろん、写真でみた宿泊施設の内覧や雰囲気も意思決定に関わってきます。自分がホテルを実際に選んでいる図を想像する事がわかりやすいさに繋がるかと思います。 このことから施設写真ページを掲載する際には、やたらめったら写真を挿入するのではなく、お客様目線に立ち、どの写真をどういった順番で表示させたら、宿泊者が「泊まりたい」と思うかを考えることが必要です。 より具体的に宿泊者がイメージできる解像度の写真を用意できるかも重要です。

施設内設備(WiFiなど)

WiFiは必須設備と言えるでしょう。訪日外国人は、ネット環境に制限がある場合が殆どですので、WiFi設備を整えることは大変重要です。 宿泊施設の環境に加えて、WiFiの有無が予約率に直結しますので、必ず設置をしましょう。 置き型WiFiルーターを設置する方もいますが、より高い需要に対応できるポケットWiFiがおすすめです。 訪日外国人は、宿泊施設でネットを使うよりも外で使用する頻度の方が圧倒的に高い為です。 Wifiを持ち運びできるということは、宿泊者にとっては大変大きなメリットとなります。iPhoneやアンドロイドの充電器を設置しておくのも必ず需要がありますので強くオススメです。 自前の充電器が日本では対応していないケースもある為、日本対応の充電器があれば大変便利です。 ただ、なくなりやすい物でもあるので、紛失防止の対策を打っておくことも大切です。

口コミを集める

各社ホテルサイトには、多くの施設が掲載されていますが、数ある民泊施設の中で予約を獲得していくための良い口コミを集めることは、とても重要です。 例えば、同レベルの「口コミが多く、評価が多いホテル」と「口コミがほとんどないホテル」があった時、どちらのホテルを予約したいと思いますか? 極端な例かとは思いますが、口コミはユーザーの声が反映されます。見ず知らずの土地、場所に泊まる宿泊者にとってはとても重要な情報源と言えます。 情報が飽和している現代こそ、施設側からの一方通行の施設紹介よりも、利用者からの口コミ情報の方が断然信ぴょう性があります。 では、どのようにして口コミを集めるのがいいのでしょうか?
  1. 宿泊費を落として予約数アップを狙う
  2. チェックアウト後に口コミの書き込みを促す
この方法が一番効率的です。 価格を下げると一時的に収益が落ちてしまいますが、反面、予約数を多く獲得できるため、口コミ数が格段に上がります。口コミ数が多くなれば、予約率も徐々にですが上がっていく事でしょう。 長期的に見れば、口コミの効果はどんどん高まります。オープン時の広告宣伝費だと思って割り切る事です。 もちろん、宿泊しても口コミを書いてくれないユーザーもいますので、筆記のアンケートを用意して置くのもオススメです。 一定数収集できたら、口コミシートを写真に撮り、施設写真の中に追加します。他の施設との差別化ポイントとして有効的です。

高レベルな清潔さ

物件の清潔さは言うまでもなく、とても重要です。
  • 髪の毛の付着
  • 水回りの水垢
この2点は非常によくあるクレームです。 クレンリネスが損なわれていることは最悪の評価につながり、施設全体の評価を落とし兼ねませんので十分注意をしていきましょう。注意していても、髪の毛が落ちてしまったり、静電気で髪がリネンに付着してしまっていたなどが原因でのクレームもあります。 使用されていないと思っていた食器が、実は前の宿泊者が使用しており、気が付かず、クレームをもらったというケースも度々発生し得る案件です。 確認をしていても、まれにある事例と言えますので十分注意したいところです。

【ポイント4】沖縄の民泊運用の事例

沖縄の民泊・宿泊施設

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