2018/07/26

大阪の民泊プレイヤー事例 02:民泊運営代行

取材協力:AKIZERO(株式会社GRApP様)執行役員 中村様

事業をスタートしたきっかけとは?

元々はアパレルの通販をしていたのですが、2015年頃にAirbnbが出てきた時、WEBだけで完結できることと、SEOや複数のサイト管理など、今までの知識・ノウハウを運営代行に横展開できるのではと思ったのがきっかけです。

アパレル通販とは全く違う業界ですが、通販でも自社倉庫で在庫を持たず外部倉庫に商品を保管して出荷する形態と民泊を比較すると、Webのやり取りだけでほぼ完結するという点は近いところはあります。

はじめは不安になりませんでしたか?

代表はまずはやってみようという性格なので、正直そんなに不安はなかったと思います。

最初は家具・家電も用意しませんし、お部屋の契約もしない。そういったリスクがない点もですし、僕自身も以前いた会社で2年くらい民泊運営をしていたので、ある程度の知識やノウハウがあったんです。

サービス名の由来を教えてください

当時僕らが目指していたのは、クライアント(法人)とカスタマーの間に入る「BtoBtoC」モデル。

よりクライアントにフックする為に『当社に委託して頂けたら稼働率が高まりますよ→空きがなくなりますよ!』というところから名付けられました。

今後はカスタマーの満足度を最大化する事で、BCも喜んでいただけると考えておりますので、カスタマーが満足した結果、稼働率が最大化するという意味になっていくと思います。現在この名前で恩納村の簡易宿所や、大阪でも「アキゼロ アパートメント」を運営するなど、ブランド化を進めております。

どのエリアでサービス展開しているのですか?

東京・大阪・京都・沖縄という4都市に集中していますが、なかには兵庫県の姫路や新開地、あとは北海道もあり、基本的には全国エリアで対応していく予定です。

現在、沖縄・恩納村の希望が丘というところで一軒家型の簡易宿所が2棟スタートしています。それがあと8棟増えて10になる予定です。このシリーズは『アキゼロ リゾート』という名前でブランド化していきます。

ベトナムに拠点がある理由を教えてください

そこは当社の肝となる部分ですね。

民泊運営は大きく分けて、「営業活動」と「オペレーション活動」の2つですが、なかでもWEBだけで完結できるオペレーションは世界中どこでもできる点から、ベトナムに拠点を構えています。

物件の現地へは私たちや清掃会社さんが行きますが、メッセージ・電話対応は、多言語対応が可能であり日本の5分の1の人件費に抑えられるベトナムで行っています。

現在25人位の体制ですが、今年中には50名体制にしたいと考えています。

御社ならではの強みは何ですか?

やはりベトナムでオペレーションを構築していることですね。

他社は日本国内でコールセンターやメッセージセンターを設けているところがほとんど。一方当社はローコストで運営できるため、安くサービスを提供できています。

また、300以上の物件数を扱っており、これは日本トップクラスの規模感。ですから色んな実績値でマーケティングができ、蓄積された経験・ノウハウから対応の幅が広いことが強みとなっています。

新法施行から物件数は減りましたか?

当社は以前に比べ取扱い物件数が3分の2くらいになりましたが、業界全体では89割くらいは減ったと思います。取扱い物件数が全て違法民泊でやっていた企業もあり、今は民泊事業を撤退して別事業をやったり、辞めているところもあります。

新法の施行で良かった点は、宿泊単価が適正価格に戻ったこと。元々価格競争がひどく、一人あたり2,0003,000円でしか取れない世界でしたが、今では4,0004,500円まで回復しています。

一方、ハードルが厳しすぎることは悪い点。消防適合通知書など今まで必要なかったものが求められるので、マンションの一角とかでやれるようなはじめやすさが全くありません。当社のお客様でも個人オーナーがほとんどおらず、最近は大きな企業がリノベーションをして2030室くらいのマンションで民泊したいという相談ばかりですね。

仕事の面白さや印象に残っていることはありますか?

業界自体がすごい勢いで作り込まれ数ヶ月単位で変わっているなど、こんな新しいマーケットは他にありません。そういう面で常に新しい情報を収集し勉強する必要があるので面白いですね。

良くも悪くも変わっていくので大変ではありますが、得られるものが多く、何十年と続いている業界では絶対に経験できない環境です。

また印象的なことと言えば、東京の池袋で運営代行を始めた戸建が、7月の売上が100万円を超えたことです。

東京も今回の新法施行により、8割から9割の物件が減少しましたが、需要は減っていないため、供給が追いついていない状態です。

当社の物件は100平米くらいの大きな戸建で最大8人が宿泊できますが、そもそも8人が泊まれるところがホテルにないので、稼働率も7月は85%を超え月25日以上が埋まっている状況でした。民泊バブルを目の当たりにしていますね。

仕事における大変さはどんなところですか?

ある程度システムや流れが確立されているアパレル通販と違い、在庫管理や料金管理をするシステムが出来上がっていないことです。サイト毎にすべて手作業で行う必要があるのが大変な部分です。

あとはゲスト対応ですね。例えば10行くらいのメッセージを、日本人ならメール形式のように伝えたいことを1つのメッセージで送ってきますが、中国の方は一回ずつ分けてチャット感覚で送ってくる傾向があります。そのため、かなり前に遡らないと話の全体図が見えなかったりするんです。

ちょっと遡って返信しても、実は2割位の話しか返せていなく、後の8割が漏れてクレームになるとか。そういった対応で国の傾向を掴まなきゃいけないことが大変ですし、今後のオペレーションの課題でもあります。

今後の目標について教えてください

現在300部屋くらいを取り扱っていますが、2020年中には5,000部屋まで伸ばしたいと考えています。これは日本だけでなく、既にスタートしているベトナムやタイ、中国も含めた部屋数。ベトナムでのオペレーション構築も、世界での運営を視野に入れていたからです。

新法施工前はAirbnbの掲載数が62,000部屋ありましたが、施行後は14,000部屋くらいまで減っています。ただ、2020年には40,000部屋くらいに伸びていると思うので、その時に40,000のうちの5,000部屋、つまり8分の1くらいを僕らが占めている状態にしたいなと考えています。

これから民泊事業を始める方へメッセージ

消防適合通知書の取得や保健所への申請など、時間・コスト・申請費用が掛かるので、最初は結構大変だと思います。でも2人部屋が多いホテルとは違い、民泊なら4人部屋6人部屋が普通に作れるので、中規模団体の旅行客が狙えます。供給が足りてない現状、エリアとかやり方を間違わなければ、必ず売上は上がってくるのでチャンスはすごくあります。

また私たちのような運営代行や提携している行政書士・消防設備士もいるので、フローや体制は整っています。

臆せず始めてほしいと思います。

<株式会社GRApP概要> 住所:大阪府大阪市中央区東心斎橋1-2-17 第一住建東心斎橋ビル3F(大阪本社) 代表取締役CEO:衣笠 達也 電話:06-7777-2686 営業時間:平日10:0019:00

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