2018/07/20

【大阪で民泊経営!】条例・規制・新法で必ず押さえたい4つのポイント

平成29年6月の国会で「住宅宿泊事業法(以降、民泊新法)」が2018年の6月15日に施行される事が決定しました。

近年、外国人観光客が増加し、宿泊施設の不足が大きな問題となっています。また、空き家問題やAirbnbなどの台頭により「旅館業法」だけでは対応に困難なケースが増加傾向にあります。

従来の旅館業法では、ホテル・旅館・簡易宿所・下宿の営業に関するルールを定めています。一方で「民泊新法」は、旅館業法でカバーされていない住宅での宿泊事業に関する細かいルールを定めています。 この記事では… ・民泊新法に従い住宅宿泊事業者として ・旅行業法に従い簡易宿所営業として 大阪で「民泊経営」をスタートするための手続きや、ノウハウに関して詳しく説明していきます。

【ポイント1】大阪で民泊経営して、実際のところビジネスとして成立するのか?

インバウンド需要から見た大阪の可能性

2015年、大阪府における外国人の延宿泊者数は約896.5万泊となっており、前年と比較して44.6%増加しています。 出典:宿泊旅行統計調査(国土交通省観光庁) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf 大阪を訪れる外国人の25.6%が中国人、24.9%が韓国人、15.9%が台湾人となっており近隣アジア諸国からの観光客が多くなっています。2016年と2017年に大阪府を訪れた、これら3カ国からの旅行者数を比較すると、いずれの国においても旅行者数が増加していることがわかります。 出典:来阪外国人旅行者数 http://www.pref.osaka.lg.jp/kanko/toukei/index.html 中国では、中国版Airbnbの途家(Tujia)の利用者が拡大しており、今後も民泊市場の成長が見込めます。 結論:インバウンド需要からみた大阪の民泊ビジネスのポテンシャルは、高いと言えるでしょう。

国内旅行需要から見た大阪の可能性

2016年、大阪府における日本人の延べ宿泊者数は1928.9万泊となっており、2015年の2000.5万泊からの微減となっています。 出典:施設所在地、宿泊施設タイプ別延べ宿泊者数(日本旅行業協会) https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2016/04.html https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2017/04.html 大阪における日本人の宿泊者数は、今後横ばい傾向が続くと考えられます。しかし、訪日外国人の延べ宿泊者数は大幅に増加しているため、既存の宿泊施設不足による民泊需要は期待ができます。

今後も外国人観光客の増加が続くと、その影響を受けて日本人観光客がホテルの予約を確保できないケースも増えてくるでしょう。

結論:訪日外国人数の増加により、宿泊施設が不足して、その影響で日本人向けの民泊市場が拡大する可能性あり。  

宿泊施設の供給面から見た大阪の可能性

2015年時点で、東京都や大阪府におけるシティホテルの稼働率が約85%となっており、時期によってはホテルだけでは宿泊需要を満たすことが出来なくなっています。 さらに大阪府の簡易宿所の稼働率は57.8%となっており、全国平均27.1%の倍以上となっており、今後も訪日外国人が増加していけばさらに簡易宿所のニーズが高まる可能性があります。 出典:都道府県別宿泊施設タイプ別客室稼働率(平成27年1月〜12月(確定値)) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf

空き家対策として見た大阪の可能性

大阪府における「外国人延べ宿泊者数」は896万人泊で、日本の都道府県の中でも2位と高いレベルになっており、まだまだ増加傾向にあります。 大阪府の空室率は14.56%となっています。空室になってしまったら、新しい借主が見つかるまでは「民泊」で収益をすこしでも増やす。新しい借主が見つかったら「賃貸」で安定収入を得る。このようなハイブリッド型の民泊運用を活用して、所持物件の収益性を高めたいものです。 出典:総務省「第65回 日本統計年鑑 平成28年」・住宅の建て方別住宅数(都道府県別)(平成25年) http://www.stat.go.jp/naruhodo/c1data/16_01_stt.html
 1泊10泊15泊30泊
宿泊料¥8,100¥81,000¥121,500¥243,000
変動費用-¥1,863-¥18,630-¥27,945-¥55,890
OTA手数料 (3%)-¥243-¥2,430-¥3,645-¥7,290
代行手数料 (20%)-¥1,620-¥16,200-¥24,300-¥48,600
固定費用-¥14,000-¥14,000-¥14,000-¥14,000
水道光熱費-¥10,000-¥10,000-¥10,000-¥10,000
アメニティ-¥1,000-¥1,000-¥1,000-¥1,000
Wifi-¥3,000-¥3,000-¥3,000-¥3,000
清掃費ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担
利益-¥7,763¥48,370¥79,555¥173,110
大阪では1LDKの平均家賃が79,000円(2018年7月20日時点)となっていますので、民泊を通じて1泊8,100円で貸し出した場合、月の半分である15泊分の予約を確保できれば、家賃収入以上に収益をあげることができます。 なお、上記の収益モデルでは手堅く見積もるために一泊単価を8,100円としています。ただし、韓国・海外からの旅行者は2人もしくは多人数で泊まることが多いため、複数人数で宿泊できるベッド数を用意することで、10,000円 / 泊を超えている民泊事業者も数多くいます。 複数人数での旅行者をうまく取りこむことで、さらに高い収益性を狙うことも十分に可能です。

参考サイト: https://www.homes.co.jp/chintai/osaka/city/price/

【ポイント2】大阪で民泊経営をスタートするには?始めるための条件、必要な手続きをご紹介

ここでは、大阪市を例に民泊を始めるために必要な手続きや条件について解説していきます。

大阪市における、主な民泊制度の概要

大阪市で民泊事業を実施する場合は、大阪市の定める条例・独自ルールに従い運営する必要があります。ここでは、大阪市が定める独自のルールを簡単にご紹介いたします。
項目国家戦略特区法
(特区民泊)
旅館業法
(簡易宿所)
住宅宿泊事業法
(住宅宿泊事業者)
申請先大阪市保健所環境衛生監視課
旅館業指導グループ
大阪市保健所環境衛生監視課
旅館業指導グループ
大阪市保健所環境衛生監視課
※原則オンライン
住居専用地域での営業不可
※住居専用地域、工業専用地域、 工業地域は不可 (区域計画で規定)
不可
※住居専用地域、工業専用地域、 工業地域は不可
制限あり
・都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に規定する 第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域が定められている土地の区域 => 全ての期間不可
・学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校の敷地の周囲100メートル以内の区域 => 月曜日の正午から金曜日の正午まで不可・工業専用地域は不可
営業日数2泊3日以上上限なし180日(泊)が上限
手数料21,20022,000不要
床面積25平米以上6.6平米以上
(1人あたりの床面積3.3平米以上)
3.3平米/人 以上の居室
フロント必要なし (映像確認等で可)一定要件を満たせば不要
(10分以内の駆け付けなど)
不要
自動火災報知器各区の消防署の指導に従う各区の消防署の指導に従う各区の消防署の指導に従う
参考サイト: http://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000422/422269/h30.12jyutaku-gaidorain.pdf

その他、考慮すべき法律は?

民泊事業を行うにあたり、国家戦略特区法、旅行業法、住宅宿泊事業法以外にも押さえておきたい法律は次の5つになります。

  • 消防法 民泊もホテル・旅館と同じ消防設備基準が必要です
  • 食品衛生法 民泊施設で食事を提供する際は届出が必要になります
  • 水質汚濁防止法 民泊事業者が汚水を処理する場合、水質汚濁防止法に基づく届出が必要
  • 下水道法 民泊事業者の施設が下水道法の届出対象(旅館業の用に供するちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設)となる場合があります
  • 建築基準法 建物自体の用途変更が必要になる場合があります
  • 都市計画法 用途地域によっては民泊事業が行えない場合もあります

民泊事業を行うにあたり、様々な法律を考慮し、届出などを行う必要があります。抜け漏れがないように、しっかりと調査して手続きを実施するようにしてください。

結局どの制度で民泊事業を運営すべきか?

民泊需要があるエリアの場合、月々の収益性は? 高  民泊 > マンスリー > 通常賃貸  低 という順位づけになることが多いです。 このような地域で、民泊・マンスリー・通常賃貸の何か一つに絞って収益を確保する場合は、最低宿泊日数の制限や年間の宿泊上限日数がない旅館業法(簡易宿所)に則して民泊事業を運営するのがベストな選択といえます。

しかし、簡易宿所は住居専用地域で事業が出来ないなど、事業許可を得る難易度は住宅宿泊事業法よりも高いというデメリットがあります。また営業をスタートする際に、法律を満たすために数十万円単位の設備投資が必要になってくる場合もあります。

住居専用地域で民泊を活用して収益性を高めるには、180日の営業日数上限がある民泊新法に則して、ハイブリッド型の民泊事業を行うと良いでしょう。 ・通常賃貸メインで、民泊で空室対策を行うハイブリッド民泊 ・民泊とマンスリー(定期借家賃貸)によるハイブリッド民泊 民泊と通常賃貸の組み合わせだけでなく、180日を超えた期間はマンスリーマンションとして定期借家賃貸をすることがお薦めです。 https://vacation-stay.jp/contents/minpaku-operation/post-2251/ どの制度を利用するかによって、考慮すべき法律が変わり、それにより必要な届出の手続きに違いが出てきます。 運用する物件状況に合わせて、どのような形で民泊事業を進めるべきか?判断が難しい場合は専門家に相談するが良いでしょう。

    【ポイント3】民泊を始めた後に、運用コストを減らしながら売り上げを伸ばすコツ

    ここまで、宿泊者需要や運営前における法律関連をご説明してきました。【ポイント3】では、運営後に高い収益を出すノウハウをご提供していきます。 収益をあげる要因は大きく分けて5点あります。
    • 素早い返信、コミュニケーション
    • 写真の質、枚数
    • 必要な設備(WiFiなど)
    • 口コミを集める
    • 何より清潔さ

    素早い返信、コミュニケーション

    一般的なホテルと民泊の違う点は、民泊では宿泊者と予約からチェックアウトまでの期間に10回ほどやりとりをするのが一般的と言われています。 宿泊者が物件オーナーへ連絡(特に質問)をしたにも関わらず、返信が遅いまたは返信をしていないとなると、その後のレビューに影響してきますので注意が必要です。 一般的なホテルの場合は、客室にはフロントへ繋がる電話があります。宿泊者が聞きたいことがある場合、フロントに電話をすればスタッフが対応してくれます。 しかし、仮にフロントへ電話をかけたにもかかわらず、誰も出なかったらどう感じますか?「なんだ、このホテルは」となるはずです。 施設の仕様は異なりますが、民泊においても同様のことが言えます。宿泊者から問い合わせがあったにも関わらず、連絡が遅かったり、返事がないとなれば不満に繋がることは言うまでもありません。 逆に、すぐに応対してくれるホテルであれば、満足度は高まります。宿泊者からの評価を高めるためには、お問い合わせに対する返信の速さは重要ですので、気をつけたいところです。

    写真の質、枚数

    写真の枚数は宿泊者の予約に大きな影響を及ぼします。 重要なポイントは以下の3点です。
    • 施設写真は30枚以上
    • 写真の解像度を高くする
    • アピールポイントを必ず挿入する
    宿泊者の施設選択において、自分自身がそのホテルにいることが想像できるかが重要であるとのデータをエクスペディア社が発表しています。 宿泊価格がホテル選びで、意思決定に大きく影響するのは当然ですが、同様に写真でみた宿泊施設の内覧や雰囲気も意思決定に大きく作用してきます。ご自身に置き換えてみるとなんとなく想像できるともいます。 このことから施設写真ページを掲載するときは、やたらに写真を挿入するのではなく、ユーザー目線に立ち、どの写真をどういった順番で表示させたら、宿泊者が「泊まりたい」と思うかを考えることが必要です。 また、宿泊者がイメージできるくらいの写真の解像度に設定することも重要です。

    必要な設備(WiFiなど)

    必須の備品はWiFiです。多くの訪日外国人は、ネット環境に制限がありますので、WiFi設備を整えることは重要です。

    宿泊施設のポテンシャルに加えて、WiFiの有無により予約率が変わってきますので、必ず設置をしましょう。

    時折、置き型WiFiルーターを設置する方がいらっしゃいますが、持ち運びができるポケットWiFiがおすすめです。訪日外国人は、宿泊施設でネットを使うよりも外で使用する頻度の方が圧倒的に高いからです。 WiFiを持ち運びができるということは、宿泊者にとって大きなメリットとなります。その他には、iPhoneやアンドロイドの充電器を設置しておくと良いでしょう。 観光客の自国で使っている充電器が日本では対応していないケースが多くあります。その際に、日本対応の充電器があれば、大変便利です。ただ、充電器などはなくなりやすい物の一つになりますので、紛失防止のために対策を打っておく必要があるでしょう。

    口コミを集める

    各ホテル予約サイトには、多くの宿泊施設が掲載されています。その中で、予約を獲得していくためには良い口コミを集めることがとても重要であるといえます。

    例えば、同レベルの「口コミが多く、評価が多いホテル」と「口コミがほとんどないホテル」があったとします。あなたは、どちらへ予約したいと思いますか?

    極端な例かとは思いますが、口コミはユーザーの声が反映されていますので、宿泊者にとってとても参考となる情報源です。

    情報が氾濫している現代だからこそ、施設側からの一方通行の施設紹介よりも、利用者からの情報の方が信頼性が高いといえます。

    では、どのようにして口コミを集めるのが良いか? 1.宿泊費を落として予約数を増やす 2.チェックアウト後に口コミの書き込みを促す この流れが一番手っ取り早いです。

    宿泊価格を下げることで、運営当初は一時的に収益が落ちてしまう反面、予約数を多く取ることができるため、口コミを獲得できる数が格段に上がります。口コミの数が多くなれば、予約率も徐々に上がっていきます。

    長期的に見れば、口コミの効果はどんどん高くなってきますので、オープン時の広告宣伝費として割り切りましょう。

    ただ、中には宿泊しても口コミを書いてくれないユーザーもいます。そんな時におすすめなのが、紙で書ける口コミシートを施設に設置しておくことです。

    一定数が集まったら、カメラで口コミシートを写真に撮り、施設写真の中に追加します。口コミと同等とは言えないかもしれませんが、他の施設との差別化ポイントとして使うことができるでしょう。

    何より清潔さ

    物件の清潔さは言うまでもなく、とても重要です。
    • 髪の毛の付着
    • 水回りの水垢
    この2点がよくあるクレームです。 施設が汚いことは最悪の評価につながり、施設全体の評価を落とし兼ねませんので十分注意をしたいところです。注意していても、髪の毛が落ちてしまっていたり、静電気で髪がリネンに付着してしまっていたなどが原因でクレームになってしまうこともあります。また、使用されていないと思っていた食器が、実は前の宿泊者が使用していて、気が付かず、クレームをもらったというケースも度々発生します。

    確認不足と言えばそれまでですが、よくある事例ですので十分注意したいところです。

    【ポイント4】大阪の民泊運用の事例

    大阪の民泊・宿泊施設

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