2018/06/11

【福岡で民泊経営!】条例・規制・新法で必ず押さえたい4つのポイント

平成29年6月の国会で「住宅宿泊事業法(以降、民泊新法)」が2018年の6月15日に施行される事が決まりました。 近年、外国人観光客が増加の影響もあり「宿泊施設の不足」が大きな問題となっています。また、空き家問題やAirbnbの台頭など「旅館業法」だけでは対応が困難なケースが増加しています。 旅館業法ではホテル・旅館・簡易宿所・下宿の営業に関するルールを定めています。一方、民泊新法では「旅館業法でカバーされていない住宅での宿泊事業」に関する細かいルールを定めています。 この記事では… ・民泊新法に従い住宅宿泊事業者として ・旅行業法に従い簡易宿所営業として 福岡で「民泊経営」をスタートするための手続きや、ノウハウに関して詳しく説明していきます。

【ポイント1】福岡で民泊経営して、実際のところビジネスとして成立するのか?

インバウンド需要から見た福岡の可能性

2015年、福岡県における外国人の延宿泊者数は約235.9万泊となっており、前年と比較して73.9%増加しています。 出典:宿泊旅行統計調査(国土交通省観光庁) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf さらに福岡県は、福岡空港や博多港を有し、韓国からの入国者が多いのが特徴です。福岡県を訪れる外国人の40%以上が韓国人となっています。 出典:平成 27 年 外国人入国者数について(経済観光文化局観光産業課) http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/52398/1/heisei27nenn_gaikokujinnnyuukokusyasuunituite.pdf 日本全体でみると、訪日韓国人数は毎年増加しており、今後も継続的な成長が期待できます。また、韓国人旅行者は予算を抑えて賢く旅行する傾向にあります。コスト的に割高な「ホテル」よりも「民泊施設」を選択する旅行者が増える可能性が高いと考えられます。 結論:インバウンド需要からみた福岡の民泊ビジネスのポテンシャルは高いと言えるでしょう。 参考サイト: https://honichi.com/areas/kyushuokinawa/fukuoka/

国内旅行需要から見た福岡の可能性

2016年、福岡県における日本人の延宿泊者数は1207.8万泊となっており、2015年の1203.1万泊からの微増となっています。 出典:施設所在地、宿泊施設タイプ別延べ宿泊者数(日本旅行業協会) https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2016/04.html https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2017/04.html また、日本人の間でのAirbnbの浸透状況ですが、日本人によるGoogleでの「Airbnb」関連キーワードの検索ボリュームは、2015年から現状維持となっています。 結論: 日本人の民泊ユーザーも一定数は存在しますが、福岡では訪日外国人向け、特に韓国からの訪日観光客向けに民泊ビジネスを展開するのが良いでしょう。

宿泊施設の供給面から見た福岡の可能性

2015年時点で、東京都や大阪府におけるシティホテルの稼働率が約 85%となっており、時期によってはホテルだけでは宿泊需要を満たすことが出来なくなっています。このような状況の中、東京都や大阪府では簡易宿所の稼働率が60%前後にまで上昇しています。 福岡県の簡易宿所の稼働率は31.7%ですが、シティホテルの稼働率は81%まで上昇しています。このまま訪日外国人数が増えていけば、福岡県も東京都・大阪府と同様にホテルだけでは宿泊需要に対応できなくなります。このような状況になった場合、簡易宿所の需要が高まって行くだろうと考えられています。 出典:都道府県別宿泊施設タイプ別客室稼働率(平成27年1月〜12月(確定値)) http://www.mlit.go.jp/common/001136323.pdf

空き家対策として見た福岡の可能性

福岡県における「外国人延べ宿泊者数」の上昇率は全国平均の倍近くになっています。このようなエリアであれば、民泊需要も年々高まっていくことが期待できます。 福岡県の空室率は12.5%となっています。空室になってしまったら、新しい借主が見つかるまでは「民泊」で収益をすこしでも増やす。新しい借主が見つかったら「賃貸」で安定収入を得る。このようなハイブリッド型の民泊運用を活用して、所持物件の収益性を高めたいものです。 出典:総務省「第65回 日本統計年鑑 平成28年」・住宅の建て方別住宅数(都道府県別)(平成25年) http://www.stat.go.jp/naruhodo/c1data/16_01_stt.html
 1泊10泊15泊30泊
収益(宿泊料)¥6,000¥60,000¥90,000¥180,000
変動コスト-¥1,380-¥13,800-¥20,700-¥41,400
OTA手数料(3%)-¥180-¥1,800-¥2,700-¥5,400
代行手数料(20%)-¥1,200-¥12,000-¥18,000-¥36,000
固定コスト-¥14,000-¥14,000-¥14,000-¥14,000
水道光熱費-¥10,000-¥10,000¥10,000-¥10,000
アメニティ-¥1,000-¥1,000-¥1,000-¥1,000
WiFi-¥3,000-¥3,000-¥3,000-¥3,000
清掃費ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担ゲスト負担
合計収支-¥9,380¥32,200¥55,300¥124,600
福岡では1LDKの平均家賃が54,000円(2018年6月11日時点)となっていますので、民泊を通じて1泊6,000円で貸し出した場合、月の半分である15泊分の予約を確保できれば、家賃収入以上に収益をあげることができます。 なお、上記の収益モデルでは手堅く見積もるために一泊単価を6,000円としています。ただし、韓国・海外からの旅行者は2人もしくは多人数で泊まることが多いため、複数人数で宿泊できるベッド数を用意することで、10,000円 / 泊を超えている民泊事業者も数多くいます。 複数人数での旅行者をうまく取りこむことで、さらに高い収益性を狙うことも十分に可能です。 参考サイト: https://www.homes.co.jp/chintai/fukuoka/city/price/

【ポイント2】福岡で民泊経営をスタートするには?始めるための条件、必要な手続きをご紹介

ここでは、福岡市を例に民泊を始めるために必要な手続きや条件について解説していきます。

福岡市における、主な民泊制度の概要

  ここでは、福岡市で民泊を始めるために必要な手続きや条件について解説していきます。福岡市は国家戦略特区に指定されたエリアの一つですが、特区民泊を実施していません。 一部民泊事業者向けに改正された「福岡市旅館業法施行条例(旅館業法)」または住宅宿泊事業法のいずれかに適合する形で民泊を運営することが必要となります。
項目旅館業法
(簡易宿所)
住宅宿泊事業法
(住宅宿泊事業者)
許認可等許可届出
申請先福岡市内の保健所
(施設所在)
福岡県
(原則、オンライン申請)
住居専用地域での営業不可可能
営業日数上限なし180日(泊)が上限
手数料22,000円不要
共同住宅での
住居との混在
可能可能
床面積3.3㎡×宿泊者数以上の客室の延べ床面積
※宿泊者数10名未満の場合
3.3㎡/人 以上の居室
フロント一定要件を満たせば不要
(10分以内の駆け付けなど)
不要
自動火災報知器必要原則必要
参考サイト: http://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/shukyaku/charm/minpaku_guide.html

北九州市における、主な民泊制度の概要

次に、北九州市で民泊を始めるために必要な手続きや条件について解説していきます。北九州市は国家戦略特区に指定されたエリアで、特区民泊を実施していますので、しっかりと内容を把握するようにしましょう。
項目国家戦略特区法
(特区民泊)
旅館業法
(簡易宿所)
住宅宿泊事業法
(住宅宿泊事業者)
許認可等認定許可届出
申請先北九州市内の保健所
(施設所在)
北九州市内の保健所
(施設所在)
福岡県
(原則、オンライン申請)
住居専用地域での営業可能
市街化調整区域及び第1種・第2種低層住居専用地域
不可可能
営業日数2泊3日以上上限なし180日(泊)が上限
手数料21,200円22,000円不要
共同住宅での
住居との混在
可能可能
床面積一居室の床面積は、25㎡以上であること。3.3㎡×宿泊者数以上の客室の延べ床面積
※宿泊者数10名未満の場合
3.3㎡/人 以上の居室
フロント-一定要件を満たせば不要
(10分以内の駆け付けなど)
不要
自動火災報知器-必要原則必要
なお、特区民泊による民泊事業運営に関しては細かいルールが定められていますので、下記で確認するようにしましょう。 参考サイト: http://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000795962.pdf

その他、考慮すべき法律は?

民泊事業を行うにあたり、国家戦略特区法、旅行業法、住宅宿泊事業法以外にも押さえておきたい法律は次の5つになります。
  • 消防法 民泊もホテル・旅館と同じ消防設備基準が必要です
  • 食品衛生法 民泊施設で食事を提供する際は届出が必要になります
  • 水質汚濁防止法 民泊事業者が汚水を処理する場合、水質汚濁防止法に基づく届出が必要
  • 下水道法 民泊事業者の施設が下水道法の届出対象(旅館業の用に供するちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設)となる場合があります
  • 建築基準法 建物自体の用途変更が必要になる場合があります
  • 都市計画法 用途地域によっては民泊事業が行えない場合もあります
民泊事業を行うにあたり、様々な法律を考慮し、届出などを行う必要があります。抜け漏れがないように、しっかりと調査して手続きを実施するようにしてください。 民泊事業の届出に関しては専門家への事前相談をオススメいたします。

結局どの制度で民泊事業を運営すべきか?

民泊需要があるエリアの場合、月々の収益性は… 高  民泊 > マンスリー > 通常賃貸  低 という順位づけになることが多いです。 このような地域で、民泊・マンスリー・通常賃貸の何か一つに絞って収益を確保したい場合は、最低宿泊日数の制限や年間の宿泊上限日数がない旅館業法(簡易宿所)に則して民泊事業を運営するのがベストな選択といえます。 しかし、簡易宿所は住居専用地域で事業が出来ないなど、事業許可を得る難易度は住宅宿泊事業法よりも高いというデメリットがあります。また営業をスタートする際に、法律を満たすために数十万円単位の設備投資が必要になってくる場合もあります。 住居専用地域で民泊を活用して収益性を高めるには、180日の営業日数上限がある民泊新法に則して、ハイブリッド型の民泊事業を行うと良いでしょう。
  • 通常賃貸メインで、民泊で空室対策を行うハイブリッド民泊
  • 民泊とマンスリー(定期借家賃貸)によるハイブリッド民泊
民泊と通常賃貸の組み合わせだけでなく、180日を超えた期間はマンスリーマンションとして定期借家賃貸をすることがお薦めです。 https://vacation-stay.jp/contents/minpaku-operation/post-2251/

【ポイント3】民泊を始めた後に、運用コストを減らしながら売り上げを伸ばすノウハウ

これまで、宿泊者需要や運営前における法律関連をご説明してきました。ポイント3では、運営後に高い収益を出すノウハウをご提供していきます。 収益をあげる要因は大きく分けて5点あります。
  • 素早い返信、コミュニケーション
  • 写真の質、枚数
  • 必要な設備(Wifiなど)
  • 口コミを集める
  • 何より清潔さ

素早い返信、コミュニケーション

一般的なホテルにしか宿泊したことがない方には、なかなか想像し難いですが、民泊では宿泊者と予約からチェックアウトまでの期間で10回ほどやりとりをするのが一般的と言われています。 宿泊者が物件オーナーへ連絡(特に質問)をしたにも関わらず、返信が遅いまたは返信をしていないとなると、その後のレビューに影響してきますので注意が必要です。 通常、一般的なホテルの客室にはフロントへ繋がる電話があります。何か聞きたいことがある場合、電話をすればフロントスタッフが対応してくれます。 しかし、仮にフロントへ電話をかけたにもかかわらず、誰も出なかったらどう感じますか?「なんだ、このホテルは⁈」となるはずです。 施設の仕様は異なりますが、民泊においても同様のことが言えます。 宿泊者から問い合わせがあったにも関わらず、連絡が遅かったり、返事がないとなれば不満に繋がることは言うまでもありません。 逆に、すぐに応対してくれるホテルであれば、満足度は高まります。 宿泊者からの評価を高めるためには、お問い合わせに対する返信の速さは重要ですので、気をつけたいところです。

写真の質、枚数

写真の枚数は宿泊者の予約において大きな影響を及ぼします。 重要なポイントは以下の3点です。
  • 施設写真は30枚以上
  • 写真の解像度を高くする
  • アピールポイントを必ず挿入する
宿泊者の施設選択において、自分自身がそのホテルにいることが想像できるかが重要であるとのデータをエクスペディア社が発表しました。 ホテル選びで、宿泊価格が意思決定に大きく影響するのはもちろんですが、同様に写真でみた宿泊施設の内覧や雰囲気も意思決定に貢献してきます。ご自身に置き換えてみるとなんとなく想像できるはずです。 このことから施設写真ページを掲載するときは、やたらに写真を挿入するのではなく、ユーザー目線に立ち、どの写真をどういった順番で表示させたら、宿泊者が「泊まりたい」と思うかを考えることが必要です。 また、宿泊者がイメージできるくらいの写真の解像度に設定することも重要です。

必要な設備(Wifiなど)

必須の備品はWifiでしょう。多くの訪日外国人は、ネット環境に制限がありますので、Wifi設備を整えることは重要です。 宿泊施設のポテンシャルに加えて、Wifiの有無により予約率が変わってきますので、必ず設置をしましょう。 時折、置き型Wifiルーターを設置する方がいらっしゃいますが、持ち運びができるポケットWifiがおすすめです。 訪日外国人は、宿泊施設でネットを使うよりも外で使用する頻度の方が圧倒的に高いからです Wifiを持ち運びができるということは、宿泊者にとって大きなメリットとなります。その他には、iPhoneやアンドロイドの充電器を設置しておくと良いでしょう。 観光客の自国で使っている充電器が日本では対応していないケースが多くあります。その際に、日本対応の充電器があれば、大変便利です。 ただ、充電器などはなくなりやすい物の一つになりますので、紛失防止のために対策を打っておく必要があるでしょう。

口コミを集める

各社ホテルサイトには、多くの施設が掲載されています。その中で、予約を獲得していくためには良い口コミを集めることがとても重要であるといえます。 例えば、同レベルの「口コミが多く、評価が多いホテル」と「口コミがほとんどないホテル」があったとします。あなたは、どちらへ予約したいですか? 極端な例かとは思いますが、口コミはユーザーの声が反映されていますので、宿泊者にとってとても参考となる情報源です。 情報が氾濫している現代だからこそ、施設側からの一方通行の施設紹介よりも、利用者からの情報の方が信ぴょう性があるといえます。 では、どのようにして口コミを集めるのか?
  1. .宿泊費を落として予約数を増やす
  2. チェックアウト後に口コミの書き込みを促す
この流れが一番手っ取り早いです。 価格を下げることで、運営当初は一時的に収益が落ちてしまいます。その反面、予約数を多く取ることができるため、口コミを獲得できる数が格段に上がります。口コミの数が多くなれば、予約率も徐々に上がっていきます。 長期的に見れば、口コミの効果はどんどん高くなってきますので、オープン時の広告宣伝費として割り切りましょう。 ただ、中には宿泊しても口コミを書いてくれないユーザーもいます。 そんな時におすすめなのが、紙で書ける口コミシートを施設に設置しておくことです。 一定数が集まって来たら、カメラで口コミシートを写真に撮り、施設写真の中に追加します。口コミと同等とは言えないかもしれませんが、他の施設との差別化ポイントとして使うことができるでしょう。

何より清潔さ

物件の清潔さは言うまでもなく、とても重要です。
  • 髪の毛の付着
  • 水回りの水垢
この2点がよくあるクレームです。 施設が汚いことは最悪の評価につながり、施設全体の評価を落とし兼ねませんので十分注意をしたいところです。注意していても、髪の毛が落ちてしまったり、静電気で髪がリネンに付着してしまっていたなどが原因でクレームになってしまうこともあります。 また、使用されていないと思っていた食器が、実は前の宿泊者が使用しており、気が付かず、クレームをもらったというケースも度々発生します。

【ポイント4】民泊運用の事例

福岡の民泊・宿泊施設

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